M&A視野にシニア事業への参入加速 シノケングループ

シノケン、あなぶき九州が高齢者住宅展開へ

 高齢者向け住宅の展開を皮切りに、介護関連事業参入に踏み切る動きも地場企業で見られ始めた。中でも住宅開発を専門とする不動産事業者の参入意欲が高く、介護方面のノウハウを獲得するためのM&Aにも積極的な姿勢を見せている。
 投資用アパート・マンション販売で地場大手の㈱シノケングループ(福岡市博多区博多駅南、篠原英明社長)は11月、介護事業のコンサルティング会社㈱リクロスを子会社化、12月に介護関連事業を統括する㈱シノケンウェルネスを新たに設立し、介護事業への参入を果たした。サ高住をはじめとする高齢者向け住宅の展開を見据えたもので、篠原社長は「サービスの面では確かに異業種だが、住宅の企画・開発という点では土地活用の選択肢の一つであり、不動産事業との関連性は高い」と捉える。賃貸住宅を開発するオーナーの選択肢を増やす意味でも、今後はシニア市場の開拓が重要になると考える。 
 リクロスは、制度の開始直後からサ高住の開発企画を手がけてきたほか、高齢者向けのサポート体制を整備した住居のコンバージョン(建物の転用)などもリリースしてきた豊富な実績を持つ。これまでシノケングループの賃貸住宅では高齢者の入居を受け付けておらず、高齢者層は同社のターゲット外の市場だった。今後はリクロスのノウハウを活用し、高齢者向け賃貸住宅の新規開発や既存物件のリニューアルを進めていく構えで、賃貸市場でのすそ野を広げ、「管理物件の入居率向上につなげていく」ことが狙いだ。
 近く、マンションの開発や販売を担う子会社・㈱シノケンハーモニーにシニア住宅事業部を設置するほか、さらなるM&Aも視野に介護関連事業の拡充を図る。介護のサービス面では新たにフォローすべき領域は幅広いが、サ高住を展開できる受注体制を急ピッチで整備し、「シニアビジネスを不動産事業と並ぶ当社の柱にしていきたい」と篠原社長は構想する。
 また、分譲マンションを主力とする不動産業者からも、サ高住の展開に乗り出す動きがある。四国に本拠地を置くマンションデベロッパー・あなぶき興産九州㈱(福岡市博多区御所町、土居年典社長)は昨年4月、社内にシニア事業の専門部署を設け、新たな市場開拓に着手している。
 同社グループは高齢者向け住宅の普及拡大を全国的な重点方針に定めており、これを軸に分譲マンション特化型の業態からの転換を図っている。「浮き沈みが激しいマンション販売一本では、安定した収益を維持するのは難しい。これからはシニア事業のような『ストックビジネス』に重点を置いて、強い収益基盤を構築していかなければならない」と土居社長は参入の背景を語る。賃貸で安定収益が期待できるサ高住を中心に、シニア事業を展開していく構えだ。
 すでにグループでは西日本を中心に10施設以上(オープン済み含む)の施設が計画されており、今後3年ほどで40棟、2000室程度を展開する計画だ。当然、九州でも今年は施設展開に着手するべく検討が進んでおり、「まずは、九州7県全てで高齢者向け住宅や施設を設置することが目標」と意気込みを語る。また同社も「事業拡大に必要な部分では、積極的にM&Aも検討していく」と考える。
 ここで取り上げた両社ともに、国の制度では住宅型有料老人ホームよりもサ高住の活用に重点を置いている。「住宅」という性格上、介護施設よりもハード、ソフトともに比較的自由度が高いことから、不動産業者にとって参入の間口が広い制度であることが伺える。
 だが、ハード面の企画・開発は専門分野だが、介護や生活支援などのソフト面については異業種のノウハウが必要とされる。シニア事業もすでに競合企業が数多い競争市場であり、事業のスピードを上げるためにはM&Aが不可欠と言える。今後も高齢者住宅に参入する企業が増え続ければ、地元介護業界で再編の流れが生まれるかもしれない。

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