シノケングループは2012年12月連結決算で3期連続の増収増益と過去最高益を達成した。1月からの新年度からは、介護関連事業や実需用マンション販売にも新たに着手。常に“不動産”を軸に置き、さらに業容の幅を広げつつある。
3期連続増収増益を達成
3期連続の増収増益、さらに利益面はすべて過去最高という好決算となった前期、昨年8月に開設した同社アパート物件を投資家に紹介する「東京ショールーム」も奏効して、主力の不動産販売でアパートが2倍近くの118棟に伸びたほか、マンションも直販が増えて利益率が向上した。また、収益基盤が安定している賃貸管理、LPガス供給販売などのストックビジネスもすべて営業利益を伸ばし、構成比率もさらに高めたことなどで最高益を達成した。
今期も増収増益目標だが、篠原社長は「前期末の受注残がアパートは109棟、マンションも95戸あり、加えて1月以降の販売状況も順調で目標達成の可能性は高い」と語る。
高齢者安心サポート付き住宅、実需用マンション販売をスタート
また同社グループは、今期から新たな分野で事業展開を始めた。
そのひとつは「介護」。昨年11月に介護関連コンサル業の㈱リクロスをM&Aで取得、年末には同事業の統括会社㈱シノケンウェルネスを設立して参入への体制を整えた。年明けからは同社が管理する賃貸物件への高齢者の入居募集を開始している。
単に高齢者に住居を提供するだけでなく、介護サポートや24時間対応の見守り・通報サービス、デイサービスへの送迎、配食サービスなど高齢者が安心して住める「楽らくプラン」をパッケージした形で、3月から入居も始まっている、篠原社長は「当面100戸を目標に入居を促進していく。われわれが建設したマンション、アパートに高齢者が住んでいただくことは社会貢献にもなるし、管理物件の入居率向上にもつながる。超高齢化社会を迎え、今後は徐々に高齢者向けにコンバージョン(転換)を進めていく」考えだ。
1月にはグループの不動産販売事業会社・㈱シノケンハーモニーにシニア住宅事業部を設置、サービス付き高齢者住宅(サ高住)を受注する体制も構築。今夏頃には第1号となる高齢者向けマンションの開発も検討しているという。
またシノケンハーモニーは実需用マンションの販売も開始した。
同社マンション事業本部に新設した「実需用マンション販売チーム」が、3月に完成した東京都杉並区の第1号物件を皮切りとして、今期末までに実需用30戸の販売を目指す。篠原社長は「従来実需用は他の販売業者に卸していたが、直販で利益率も高まり、販路の拡大も図れるため、不動産販売事業の業容拡大につながる」と見込んでいる。
新中期計画で経営基盤を磐石に
シノケングループでは、今期から3カ年にわたる中期目標を打ち出した。最終年度の2015年12月期には売上高270億円、営業利益23億円、経常利益20億円の達成を目指すと同時に、グループの自己資本比率を30%台に引き上げるというものだ。
2010年度末に5.4%だった自己資本比率は11年度末には10.7%、前期末は15.9%と年々上昇しており、「今期末には20%台、来期末には20%台後半、そして最終年度中に30%台を目指す。加えてキャッシュポジションを現在の20億円台前半からできるだけ早く30億円に乗せて、さらに経営基盤を磐石にしていきたい」考えだ。
今後の見通しについて篠原社長は「全事業とも好調に推移しており、マーケットもいい状態が続くと見ている。『不動産』という軸をぶらさず、その中で未開拓の分野については、介護関連事業と同様に業務提携やM&Aなどの手法を活用して今後も積極的に取り組んでいきたい」と語る。