3期連続で過去最高益を更新 業績好調で今期も増収増益を計画 シノケングループ 

ジャスダック上場のシノケングループ(8909)は2月16日に2014年12月期決算を発表した。前期比52・9%と大幅増収、経常利益も同61・3%増と大幅な増収増益を達成。過去最高の売上高と経常利益をマークした。今期も25・9%増収、経常利益も2桁増を計画しており、業績好調を持続している。業績の詳細については別表に記載した通り。
株価は年末に付けた1500円台から幾分下落しており、2月末現在で1238円となっている。出来高そのものは増加しており、売り一巡後の再浮上を待つ状態になりつつある。指標で見てもPERは6倍台と割安を示している。
同社は投資用不動産の販売と管理等を手掛ける企業。土地を持たないサラリーマンでも、毎月の家賃収入が土地・建物のローン返済に充てることでアパート経営ができるという独自モデルを構築し、用地選定から建設、賃貸管理業務、家賃保証、エネルギー関連など付帯業務すべてをサポートしている。また介護関連事業、海外事業も展開。昨年にゼネコン事業の小川建設をM&Aで取得している。
不動産の販売やゼネコン事業については、受注ありきのフロービジネスだが、不動産賃貸管理事業や家賃保証などの金融・保証関連事業、LPガス供給販売事業などはストック型のビジネスだ。全体としては手堅い事業構造になっている点も追記しておくべきだろう。
2014年12月期決算をこの「フロー」と「ストック」に分けて詳細を見てみよう。
まずフローだ。フロービジネス全体では売上高は前期比60%増の329億2400万円。営業利益は同64・8%増の46億7100万円となった。4年前と比較して売上高は約2倍強だが、営業利益は4倍以上だ。部門収益性の向上が見て取れる。営業利益率は前期から0・4ポイント改善し、14・1%まで上昇している。建築コストの上昇が叫ばれているが、小川建設をM&Aでグループ内に持ったことが好業績を支えているひとつの要因と言えよう。
不動産販売がとりわけ好調に推移している。アパート販売は前期から23棟増の171棟。マンション販売は前期と同じ528戸となった。特にアパート販売は期末段階で受注残が249棟もある。今期計画の300棟に対し、既に80%超に達している。マンション販売も期末の契約残が134戸ある。今期計画の530戸は、あと396戸と余裕のあるスタートになる。
さらに詳細を見ると、アパート販売事業の売上高は前期比24億400万円増の108億3800万円。同営業利益は1億8400万円増の10億600万円。マンション販売事業の売上高は前期比9・7%増の132億8700万円。同営業利益は56・4%増の31億4600万円。ゼネコン事業(9ヶ月決算)は売上高87億9800万円で、同営業利益は5億1800万円。M&A取得のため前期比比較はない。
ストックビジネス全体は、売上高が前期比25・1%増収の68億円で、営業利益は同21・2%増の8億4700万円。フロービジネスで販売した投資用不動産の管理を取り込むことで順調に増収基調になるのがストックビジネスの特徴だが、2014年12月期の収益増加では、これまで先行投資が継続していた介護事業の黒字化が大きく寄与したと言える。
詳細を見ていこう。不動産賃貸管理事業の売上高は前期比18・2%増の54億4000万円。同営業利益は7・9%増の5億8100万円。金融・保証関連事業の売上高は前期比102・4%増の4億1900万円。営業利益は6・6%増の1億5500万円。介護関連事業は売上高2億3500万円、営業利益2000万円を計上した。前期は売上高1100万円で7300万円の営業損失だった。LPガス供給販売を含むその他事業は売上高7億500万円(15・0%増)、営業利益9000万円(2・5%増)。
ストックの主軸である不動産賃貸管理では、管理戸数の更なる増加を目指す。期末では1万5031戸だが、今期は1万7319戸を計画。ワンストップサービスを武器に競合他社からの切り替え受注を目指している。今後は介護関連事業でも成長を目指していく構えだ。
今期の配当は前期実績に換算(今年1月に株式分割を実施)して約10円の増配予想。1株当たり年間12円50銭とする意向だ。

株主手帳2015年4月号